「この胸の穴はあなた」

11/28のIsland FesでHiHi Jetsが初披露した、「ドラゴンフライ」。島動画で歌います!って言ってたから歌うことは知っていたし、ラジオCMで「会いたい〜」のあたり、一部分だけ聞いたことはあったけれど。

Aメロからラストまで、明るい曲調ではあるのにどこか寂しくて、終わりを示唆する感じというか…。「海の向こうへいければ」………結局はいけなかった、ような、そんな青春の終わりを迎えたような、物悲しさを感じてしまって。
そしてライブ終わり後、これはオートリバースを読むべきだと思って、一気に読みすすめました。


HiHi Jetsがアイドルとして私達に送ってくれるメッセージソングとして聞くときの「ドラゴンフライ」、それはそれで色々考えてしまって、何より「会いたい」…ってわたしも思ってしまうので泣きそうだったんだけど。

ラジオ前に、ラジオで二人の声で聞く前に、「オートリバース」のテーマソングである「ドラゴンフライ」の解釈…ってほどでもなく感想を書いておこうかなと、久々はてブロをひっぱり出してきました。


最初に書いておきますが、オートリバースのラスト及び、猪狩くんと作間くんの配役についてもそのまま書かせて頂いているので、ラジオドラマで聞くまで知りたくない、本読む予定だから知りたくない!って人は閉じて貰えれば…🙏











試し読みで読んだとき、正直どっちがどっちだろう…決めかねる…と思っていて。見た目の描写は完全に高階くんが作間くんだと思ったんですよ。でも、高階くんの飄々とした感じの喋り方は猪狩くんかな…なんて思ってたんですが、蓋を開けてみたら、直が猪狩くんで、高階くんが作間くんでしたね。でも考えてみると、イカロスのくだりとか、猪狩くんに読んでほしいと思った直の心情部分である地の文が多かったし、ラストのあの227ページから始まる心情シーンは作間くんの声で聞きたい(でも多分おそらく大号泣する)と思ったので、めちゃくちゃに楽しみです。



そして、そんなラジオドラマ、オートリバースのテーマソングであるドラゴンフライ。
多分歌詞の意味を踏まえて、作間くんと猪狩くんにそれぞれのソロパートが振られてると思っているのですが。



「海の上 この小さな羽を広げて」

高階くんは作中で「全国制覇だ」って言ってどんどん親衛隊を大きくしていくけれど、そしてトップを一時的に失った集団を見事な手腕でまとめたかのように見えたけれど、結局はまだ未成年の、松戸にいる男の子で、ほんとに小さな羽しか持ってなかったんだよな。
そして、直が言う「オニヤンマと同じ目だ」ってセリフと相まって、高階くんのことを演じることになる作間くんがここの歌いだし歌うのすっごい納得だし、好きだな…。



「空の果て あの小さな光求めて」

直がヒメと、グリーンフラッシュを浜辺で見るシーンがとても綺麗なのに儚くて好きなんですけど。そこのシーンを彷彿とさせる歌詞でもあるし、いろんなものに押しやられて鬱屈とした毎日を送っていた直(や高階を始めとした、親衛隊の人たちみんなかもしれない、)にとって、小泉今日子は、空の果てくらい遠くて、それでも何よりも明るい何物にも代えがたい光のように見えたのかな、なんて思ったり。



海の上は当たり前に、飛び疲れても止まって休む草木もないし、どこまで行ってもきっと果てはないし、方向感覚もわかんなくなることも多いだろうし。
飛び疲れたら、もう、海に沈むしかなくて、それは命の終わりを意味する絶望でしかなくて。でも、その事実にすら気付かず飛んでいくトンボ。もしかしたら、どこかでわかっていてもそれでも、海の向こうにあると信じる何かを追い求めて飛ばずにはいられないのかもしれない。

……これ、親衛隊って、ほんとは最初は小泉今日子のことが好きで、なんとか力になりたくて、応援したくて、ここが居場所だと思ったところがスタートだったのに。どんどんかけ離れたところへ進んでいってしまった親衛隊と高階のことにも感じてしまって。高階は、幸か不幸か病気で倒れたことで気づいて、直の隣に戻ってこれたけれど。


「海の向こうへいければ、この街さえ出れれば」ってきっと、高階だけじゃなく直もヒメも、出てくる登場人物たちみんな思っていたことかもしれないね、と思うし、きっと高階はより強く思ってたから行動に移して坂道を転がっていくみたいに止まれなかったのかな。そして、そんな高階だけど直のことは「堂々としてろ。お前は俺がいなくても生きていけんのか」って言葉をかけるほど、友達として…親友として思ってるんだよね…。海の向こうへ2人で行ければ、何かが変わったんだろうか。


そして一番わたしが個人的にしんどいのがラストのところなんですが。

「会いたい この胸の穴はあなた」
「ああ痛い この胸の穴はあなた」

会いたいとああ痛いになってるんだよね、ここ。
その変わる歌詞の部分は5人で歌ってるんだけど。

「会いたい」のは高階くん、「ああ痛い」のは直。
残していくほうが「会いたい」で、残される方が「ああ痛い」なんだよな。残されて生きていく方は、その痛みを抱えて生きていくしかないし、残して死にゆく方はその痛みさえ感じられなくなるわけで。


高階にとっての、胸に空いてしまった穴は、なんとなくラストシーン的にも小泉今日子とか直のこととかお母さんのこととか、自分のあるはずだった将来のこととか色々含んでそうで。それこそ、死んでしまう、死んでしまったことによってたくさん後悔が、ああやり残した中途半端だって思うほど残したものがあって。それが、死んでしまったことによって抜け落ちてしまって、ぽっかりあいちゃったんだな……。そして、一生埋まることはないまま、穴ごと消えてしまった感じ。


そして、直にとっての胸に空いてしまった穴は、わたしは高階のことだと思ってて。高階と出会ったからこそ、きっと直の人生って変わったと思うんですよ。高階がいなかったらたぶん、小泉今日子には出会ったとしても親衛隊に入ることはなかっただろうな、と彼の性格を見ても思うし。
でも、穴が空いたとしても、その喪失感は薄まってもなくなることはなくても、直は高階と約束したから、これからも生きていくんだろうな。

あと、ただ音の動き的にそうなってるだけなんだと思うんだけど、割と作間くんの「この胸の穴はあなた」は平坦な音の動きで、作間くんもまっすぐ歌ってるように感じるのに対して、猪狩くんの方は「穴は」で音がぐいっと上がって、力込められる歌い方になってるんだよね。それがなんというか、直の、生きて残されて穴を胸に抱いたまま生きていく彼の苦しさとかやるせなさとか、それでも約束したからって決意の現れとかそういう心の動き、みたいなものを彷彿とさせるなあ〜って何でもかんでも結びつけるべきじゃない気がするけど!思ったので追記しときます(12/7)




そしてさ、ドラゴンフライもなんだけどさ、昨日一昨日から続々と公式さんが出してくれてるビジュアルがさ…………苦しいほどに、2人が高階と直に見えて。もちろん、作間くんと猪狩くんとして見てもめちゃくちゃ、儚い一瞬の今の2人でしか見れない青春の一ページって感じがするけども。でも、エメラルドグリーンの瞳なんだよ、作間くんが…………。

「世界はひとつじゃないって、知ってた?」のポスターの、作間くんの瞳が、空の青と木々の緑に見えるの……。作中通り、オニヤンマの、高階の目じゃん……。そして、「自分が今まで見てたものだけでこの世界ってできてるわけじゃないんだよな」の高階くんのセリフを思い出してしまう……。そこのシーンの、直の絶望からの独白シーン、猪狩くんの声で聞いたら泣きじゃくって死んでしまうと思うんですけど………。

「いっしょにずっと、走るぞ。」も、これだけ見れば青春だな〜!楽しそう!なのに、もう2人は一緒に走れないし笑いあえないじゃん………ってなってしまうんだよな…。カメラのレンズが陽の光に反射してる、ぼやーっとした感じにも見える写真の雰囲気がめちゃくちゃ好きです。蜃気楼みたい。

「嫌いなやつが〜」のも、上の写真は2人すぐ近くに一緒にいて影も重なってるのに、下の写真は重ならない影になってるのとか、なんか、もう、全部が全部しんどく見えてきてしまうんですよ。


猪狩くんと作間くんが、ほんとに衣装とかもきてお芝居するみたいにして撮ったよ、って話してるのでほんとに、ラジオドラマとして聞けるのが楽しみで楽しみでしょうがないんですが、案の定ただの青春小説なだけではなく、ただのアイドル物の小説ではなく、どうしたって切なくて。何かを獲れば何かを失うって、作中に出てくるけど、失うものがどうしても大きすぎるように見えて。それでも、世界は高階を失ったぐらいでは何も変わらなくて…。

そんな作品を、猪狩くんと作間くんが主演で演じること、めちゃくちゃに楽しみだしこうやってリアルタイムでこの作品を知ってラジオドラマを楽しみに待てること、幸せだなあと思います。


オニヤンマのエメラルドグリーンの目を見せたくて、捕まえて瓶に入れていた直。でも、オニヤンマは死んでしまうんですよね。ゆっくり、エメラルドグリーンだった目が黒になっていくの。
瓶っていう狭い世界に閉じ込めなかったら、もっと生きられただろうか。広い空を飛んで海の向こうへ、行けただろうか。
高階も、この街を、狭い世界を、抜けて広いところへ行ければ、まだ自分の隣にいてくれただろうかって、直も思った瞬間がきっとあったんだろうな、と、ドラゴンフライを聞きながら思ってしまう。

つぶやいたけど、ラスサビ前の「海の向こうへいければ〜」のとこのスクリーン、今まで広い海原とか砂浜が映ってたのが、静かな深い青っぽい色になって、透明な泡がぽこぽこ浮いていくような映像に切り替わるじゃないですか。そういうのも、全部意味がある演出なのかなあって。わたしにはトンボが溺れていってしまったように見えてしまって、海の向こうへは行けなかった、2人ともって感じに受け取れてしまう。


HiHi Jetsが歌う歌っていう観点から考えると、誰も行けぬと笑ったとしても、そんな言葉すらひょいっと飛び越えて、高波も荒れた海の日も全部乗り越えて、海の向こうへ行ける、いって欲しいなって気持ちで一杯になりますけどね!!


本当にオートリバース配信の日を、ラジオで聞ける日を、楽しみにしています!
こんなにも素敵な作品に、愛しい高階と直という登場人物たちに出会わせてくれてありがとう。